痔の正しい治し方|セルフケアと治療の選択肢

痔について

痔について痔(じ)は大きく 「いぼ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「あな痔(痔瘻)」 の3つに分類されます。
いぼ痔はさらに、肛門の内側にできる「内痔核」と 外側にできる「外痔核」に分けられます。

痔は発生する場所や大きさによって症状が異なるため、それぞれの特徴についてわかりやすく解説いたします。

内痔核について

内痔核は、肛門内部や直腸にできる痔で、肛門周囲の血流が悪くなることで静脈瘤が生じ、外側に膨らむように現れます。
初期では痛みが少ない一方、出血や脱肛(痔が外に出る)が起こることがあります。

主な原因としては、

  • 長時間座りっぱなしの姿勢(デスクワーク・リモートワーク)
  • 便秘・下痢
  • 排便時のいきみ
  • 産後の女性

などが挙げられます。

外痔核について

外痔核は 肛門の外側にできる静脈瘤が原因で、そこに血のかたまり(血栓)ができると 血栓性外痔核となります。
外側は皮膚と同じ組織で神経が豊富なため、強い痛みやかゆみを伴うことがあります。

また、血栓が肛門括約筋に締めつけられると痛みがさらに強くなる場合があります。

治療としては安静や軟膏を用いることが基本で、通常は 1〜2週間ほどで症状が改善します。
痛みが強い場合や長引く場合には、切開して血栓を取り除く処置を行うこともあります。

切れ痔(裂肛)について

切れ痔は、肛門の皮膚が裂けることで発症し、痛みや出血を伴います。
出血はティッシュに付く程度の軽いものから、便器の水が赤くなるほどの量までさまざまですが、鮮血であることが特徴です。

女性に多く、痛みを避けるため排便を我慢してしまうことで便秘が悪化し、切れ痔をさらに悪化させることがあります。
繰り返すと肛門が狭くなり、手術が必要になる場合もあります。

痔ろう(痔瘻)について

肛門内部で細菌感染が起こり、炎症によって膿がたまることで発生します。膿が外へ出ようとしてトンネルのような道ができた状態を痔ろうと言います。

若年〜中年男性に多く、原因としては便秘・下痢・腸内細菌による感染が挙げられます。
痔ろうは 自然治癒しないタイプの痔で、基本的に手術が必要になります。

痔の治療法

痔は種類や症状の程度によって治療法が異なります。軽度であれば生活習慣の改善や薬物療法で改善できますが、中等度〜重度の場合は専門的な治療が必要となります。

1.軽度の痔の場合

生活習慣の改善
《排便習慣の見直し》
排便習慣の見直し
  • 便秘・下痢を防ぐことが重要
  • 野菜・果物・海藻・きのこなど、食物繊維をしっかり摂る
  • 水分は1日 1.5〜2L を目安に
  • 排便時に強くいきまない
  • トイレは5分以内を心がける
《生活リズムの改善》
  • 長時間座り続けない(1時間に一度は立ち上がる)
  • 入浴は湯船につかる
  • アルコール・辛い食品のとり過ぎに注意
《適度な運動》

ウォーキングやストレッチは腸の動きを整え、便通改善につながります。

2.薬物療法

薬物療法症状や種類に合わせて薬を使います。

いぼ痔(痔核)
  • 内服薬:炎症・腫れを抑える薬(フラボノイド製剤など)
  • 外用薬:痛み・かゆみを抑える軟膏
  • 坐薬:内痔核に効果的
切れ痔(裂肛)
  • 軟便薬(酸化マグネシウムなど)
  • 血流改善の軟膏(ニトログリセリン軟膏など)
痔ろう
  • 膿がある段階では抗生物質
  • 落ちついてから手術で膿の通り道を除去

3.中等度〜重度の痔の場合

内痔核
  1. ゴム輪結紮療法
    外来で可能
    痛みが少なく、短時間で終了
  2. 硬化療法(ALTA療法)
    薬剤を注入して痔を縮小
    入院不要・日常復帰が早い
  3. 根治手術(結紮切除術)
    重度や再発例に実施
    痔核を根本から切除する方法
切れ痔(裂肛)
  1. 用手拡張術
    過緊張した筋肉を緩めて血流を改善
  2. 内括約筋側方切開術(LSIS)
    肛門の圧を下げ、慢性的な裂肛に有効
痔ろう
  1. 瘻管切開術(最も一般的)
  2. 括約筋温存術(便失禁リスクを軽減)
  3. シートン法(ゴム糸を使った負担の少ない治療)

当院の対応について

当院では 肛門の手術などの外科治療は行っておりません。
中等度〜重度の痔が疑われる場合は、適切な医療機関をご紹介いたします。

痔の治し方について

痔の治し方について痔は“恥ずかしい病気”と思われがちですが、決して特別なものではありません。
早期に治療すれば、ほとんどの場合で改善できます。

出血や痛みが長く続く場合は自己判断せず、肛門科または消化器内科へご相談ください。
生活習慣の見直しと医療的ケアを組み合わせることで、再発予防にもつながります。


監修:名古屋むらもと内視鏡クリニック 栄院 
院長 村元喬

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