大腸ポリープ切除

日帰り大腸ポリープ切除

大腸カメラ検査を受けると、大腸ポリープが見つかることがあります。便潜血検査陽性の場合や、症状があって受診される方の場合、ポリープの発見率は2人に1人を超えるという報告もあるほど、一般的なものです。大腸ポリープの多くは、がん化する可能性のある腺腫であり、ポリープの段階で切除所することで将来の大腸がん予防になります。
そのため、ポリープを見つけたら、基本的にはその場で切除してしまう日帰り手術を行います。通常、検査のみの場合は15分程度で終わるところですが、ポリープの切除を行うと少し時間がかかることになりますが、それでも20~30分程度で完了します。ただし、ポリープ切除は、短時間で終わるとはいえ手術ですので、切除痕から出血などの合併症を起こす可能性があります。そのため、当日の入浴や運動、食事などに制限があり、また1週間程度、アルコール摂取、運動、長距離移動などにも制限があります。この制限の程度は、行った処置の内容や状態などによっても異なりますので、当日詳しくお伝えしています。また、当院ではこれまで術後の大出血などによる深刻な事態が起こったことはありませんが、緊急時の連絡先もお伝えしておりますので、万一のことがあっても迅速に対応することが可能です。しかしながら下記のような場合には、入院による切除が望ましいため高次医療機関への紹介とさせていただきます。

  1. 切除すべきポリープが多数ある場合
  2. 2cm以上のポリープが見つかった場合
  3. 持病で抗血栓薬や抗凝固薬などを内服している場合

大腸ポリープとは

ポリープとは、皮膚や粘膜から隆起してできる、いぼのようなものの総称で、大腸にできるものが大腸ポリープです。大腸ポリープは、見た目から、腺腫、鋸歯状ポリープ、炎症性ポリープなどに分けられています。さらに鋸歯状ポリープは過形成ポリープ、SSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)、TSA(traditional serrated adenoma)などに分けられます。発生率は腺腫が80%以上と多く、鋸歯状ポリープの過形成ポリープが10%程度、その他が10%程度となっています。腺腫は将来的にがん化する可能性があるため、切除の必要があります。
また、過形成ポリープはがん化することはほとんどないと言われていますが、SSA/PやTSAは将来的にがん化する可能性があります。しかしながら、過形成ポリープとSSA/Pは非常に見た目が似ていて、内視鏡で鑑別ができないことも少なくありません。そのため、腺腫だけではなく鋸歯状ポリープもある程度大きさがある病変を見つけた場合には、将来のがん化予防のために切除することが望ましいとされています。
大腸ポリープの切除は、大腸カメラ検査と同時に行うことになります。そのため、大腸カメラ検査を受ける場合、ポリープが見つかった際に切除することに関する十分な説明を行った上で、手術の同意書も同時にいただいております。

内視鏡的ポリープ切除術の種類

ポリペクトミー

内視鏡の先端にあるスネアでポリープの根元を絞扼して切除する方法です。電流を流さずポリープを切除するコールドポリペクトミーと、高周波電流でポリープを切除するホットポリペクトミーとがあります。

コールドポリペクトミー
(コールドスネアポリペクトミー)

10mm以下のポリープを切除するための方法で、多少の出血はありますが、自然に止血する程度のもので、腸管組織にはほとんどダメージがない、安全な切除方法です。心臓のペースメーカーを使用中の方や血液サラサラにする薬を内服されている方にも切除可能な方法です。

ホットポリペクトミー

しっかりと切除する必要がある10mm以上のポリープを切除する際に適応となることが多い方法です。高周波電流を流すことで確実に病変を切除することはできますが、稀に深い層にまで火傷が及ぶことがあり、時間の経過によって出血や穿孔のような合併症を引き起こすリスクがわずかにあります。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

スネアをかけられない平坦なポリープなどの場合に用いられる方法です。粘膜下層に生理食塩水を注入し、ポリープ全体を浮かせるようにして人工的に茎を作りスネアをかけます。高周波電流で切除しても、生理食塩水が緩衝地帯となるため熱が深部まで伝わらず、低侵襲で安全かつ確実な切除を行うことができます。取り残しがなく確実に切除できることから、早期の大腸がんの切除なども、この手法で通常行います。

大腸ポリープ切除後の注意点

大腸ポリープを切除した後、一番心配があるのは術後の出血です。そのため、切除からおよそ1週間程度、生活の中で出血を予防するために、幾つか活動に制限をさせていただいております。
制限の日数は、切除したポリープの大きさや個数などによっても変わっていきます。多くは数日で制限が解けますが、大きなポリープや早期がんなどの切除を行った場合は、1週間程度制限が必要となる場合もあります。

入浴

切除当日は、シャワーを浴びる程度で、お腹の部分を余り温めないようにしてください。翌日からは制限なく入浴していただけます。

食事

切除当日から、普通の食事で問題ありませんが、激辛の香辛料などの刺激物や、脂肪分や油分の多い料理は避けるようにしてください。

飲酒

アルコールは血管を拡げる作用があり、出血のリスクが高まってしまいます。医師から指示された日数は必ず禁酒してください。

運動

激しい運動や、お腹に力が入り腹圧が上がるような運動は、医師から指示された日数は避けてください。散歩やウォーキング程度の軽い運動には制限はありません。

旅行や出張

旅行や出張については1週間程度避けてください。さらに飛行機は気圧の関係で出血のリスクがありますので避けてください。
予め日程が決まっている場合は、1週間以上前、または日程の後に大腸カメラ検査を入れるように予約を調整してください。急にどうしても外せない出張などが入ってしまった場合は、それ以降に予約を変更していただくか、検査だけ行い、ポリープが見つかった場合、後日切除するといった方法も可能です。

出血があった場合

便に少し血液が見える程度の出血であれば、急ぐ必要はありません。大量に出血した場合や、痛みを伴って出血した場合などは、お知らせした緊急連絡先へすぐにご連絡ください。


監修:名古屋むらもと内視鏡クリニック 栄院 
院長 村元喬

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